閉塞感を突き破る自立精神

A弘です。

1月も間もなく終わりを迎えようとしておりますが、世相は相変わらずパッとしません。そんな中、ダイヤモンド・オンラインに掲載された安藤茂彌氏(トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO)のコラム「シリコンバレーで考える」を見て、いろいろと考えさせられました。今日はその話題を。


−日本人だけが感じる閉塞感
「一生安泰に暮らしたい日本人の心が招いた閉塞感」と題されたエントリーで安藤氏は、日本人だけが感じる閉塞感の原因を、簡単には変化できない日本社会の構造に求めています。その構造が、一回の就職で死ぬまで楽チンな人生を送りたいと願う日本人のワンパターン化した人生設計を生み出し、大企業や官僚機構などに頼りがちな、自立できない日本人を作り出したというわけです。

安藤氏は、日本人の閉塞感は日本人の先入観にあるように思う。一流大学を出て、官僚や大企業に勤めるパターンを成功の唯一のシナリオとして描くのはもはや時代遅れである。いまさら既得権益を目指すのも時代遅れである。「この分野のナンバーワンになってやろう」と発想を変えれば、「あなた」独自の世界が開けるはずだ。悶々とした「閉塞感」に悩むぐらいなら、自分の力で切り開いて行ける「あなた」の世界を築くべきであると説いています。

私も同感です。国や会社を批判するだけではこの不況はやはり乗り越えられません。やはり一人ひとりが自立し、前に進むことだけが、この未曾有の不況を脱する鍵になると思います。「自立」した考えを持ち、「自立」した考えで人生を設計する。多くの日本人がそう考えられるようになれば、日本の未来もそんなに悲観する事はないと思います。私も、こうした記事を読みながら、「自立」の意味をかみ締めているところです。


アメリカの自立精神を学べ
前述の安藤氏によると、米国の企業は、CEO(最高経営責任者)は取締役会で任命され、また、取締役の圧倒的多数は外部者で構成され、厳しいチェックがなされているのだそうです。企業のトップに既得権を持たせる事は絶対に認めないという姿勢が、真に自立した企業を形作っているのでしょう。しかし日本は、内部昇格が通例で、反対派の社員や株主を排除する嫌いがあり、会社全体の行動も内向きとなります。JALが好例ですね、つまり経営者の緊張感がまるで違うのです。

また、労働者のあり方も、米国ではレイオフが頻繁にあり、一生に何度も転職を余儀なくされるアメリカの労働者は、自分の強みを如何に高く売り込めるかに関心を持ち、常に自立した存在として自分を定義しているそうです。逆に日本では、冒頭に述べたように、一回の就職で死ぬまで楽チンな人生を送りたいという人生設計がある。アメリカと日本の国民性は違う、と言ってしまったらそれまでですが、アメリカの「自立精神」は、学ぶべきところが多いと思います。

しかし、不況も度を増し、国民の中にさらに強固な「安定志向」が形成される中、「自立精神」などという言葉は虚しく聞こえてしまうのが現状なのかもしれません。国家公務員は相変わらず異常な厚遇ぶりを見せ、企業の内向き体質によって、新入社員はどんどんロボット化し、多くの日本人が、楽な方楽な方へと流され、思考停止に陥ってしまったように思えます。


−安定志向の日本へ「喝!!」
もうこの際ですから、国家公務員は、終身雇用と引き換えに給料を50%カットしてみてはいかがでしょうか。終身雇用が約束され、年功序列の上に年2回のボーナス・老後の年金など全て約束されているなんて、この時代ありません。また、今騒がれている国会議員にしても、自らの議員特権や定数削減について必ず議論をして頂きたい。国家公務員制度改革が国民目線で理解を得られない限り、増税なんて口が裂けても言えませんよね? 谷垣さん、仙石さん。

そして、日本の企業は、異質な人材をどんどん採用して社内の活性化を図るべきだと思います。大学名でふるいにかけ、挙句の果てに「社風」に合いそうな素直で元気のいい学生ばかりを採用し続けるという「洗脳活動」をやめるべきです。これだけグローバル化が進んだ現代社会で、新入社員を同質化させ、傷の舐め合いをしている企業に明日はありません。

最後に、この公務員至上主義をなんとかしなければなりません。これについては、東洋経済の記事が詳しいのですが(リンクを下にはりつけておきます)、要は、日本が誇れる仕事というのは、果たして「公務員」なのかということです。消防士や警察官など、命を賭す方々には敬意を表しますが、税金で養ってもらう人ばかり増えていくという日本に希望を見出すことができません。公務員・安定志向が強まれば、ますます日本は硬直化し、「依存する」若者ばかりを作っていくことになります。
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現在では、そんな日本の身勝手な閉塞感に嫌気が差した若者が、どんどん海外へ流出しているというニュースもよく耳にします。もちろん、日本で働くという希望が叶わないからという理由もあるでしょうし、海外へ出ればいいというものでもありません。しかし、いずれにせよ、日本から飛び出す若者はますます増えるに違いありません。そうした積み重ねが日本人の意識に働きかけ、日本人のマインドセットが少しづつでも「自立」の方向に変わっていってくれる事を祈るばかりです。

■A弘■