インドネシア・中国現地製材情報(その1)

A弘です。


私達は木材商社という仕事柄、
現地と毎日の様に原材料の入荷や生産、出荷について綿密に打ち合わせしております。


通常ですと本ブログではアガチスやChinese Hemlockの話題が主体となるのですが、
今回はそれ以外の弊社における取扱商品についても取り上げてみたいと思います。
第1回目の今日は、柳杉についてです。
(今回の記事は特に業界関係者をターゲットにしております。悪しからずご了承下さい。)


柳杉は今から7〜8年前位から羽目板を主体に本格的に日本への入荷が始まりました。
日本の杉に良く似ている為か、非常に馴染み易く、
マーケットに受け入れられるのにそう時間は掛かりませんでした。
その後も植林木という事で安定した入荷を続けて今日に至っております。
(※性質等については、過去の記事をご覧下さい。)



ところが、今年に入ってから状況は一変します。
以下の要因により、入荷が極端に減ってしまいました。


(1)中国国内(特に四川省)での需要が旺盛な事。
(2)韓国からの引き合いが増えた事。
(3)柳杉の輸出に携わる工場が減少しており、生産キャパが限られている事。
(4)他樹種(福州杉)の入荷がタイトな事もあり、柳杉を求めに来る業者が増加している事


(1)については、門の芯材や羽目板、FJL、木工用の板、木箱といった用途が中心となり、
需要を下支えしております。また、中国国内の取引に関しては
・現金取引が多い
・無税
・価格が輸出向けとそれ程変わらない
・品質に関してさほど厳しくない
といった非常に大きな優遇面があり、
柳杉を生産している工場はこぞって国内向けの製品を生産する様になりました。
また、かつては親日家であった工場も
日本向けの大量のオーダー残を全てキャンセルしてまで
国内向けにシフトする様になりました。


(2)については、韓国でも柳杉の認知度が徐々に高まってきており、
四川省に買い付けに訪れるバイヤーも日々増加している様です。
品質要求も中国国内同様あまりうるさくない為、
工場側も国内向け同様生産を優先している様です。


(3)については、かつて7〜8年前には輸出対応可能な工場は少なくとも6社程度あったのが、
現在は1〜2社に迄減少してしまいました。
しかも対日向けの生産は国内向け/韓国向け生産の合間に限られている事から、
今後も日本への大幅な入荷増は期待出来そうにもありません。


(4)については、福州杉でも柳杉同様の入荷状況が続いており、
代替品を求める動きが強まっている様です。



こうして見ると、かつては優位を誇っていた柳杉の日本向けの輸出も凋落の一途を辿っており、
今や「買って貰わなくて結構」といった状態です。
それでも弊社は現地の工場の好意により、
何とか月に40Feet2Container程度は出荷して頂いており、
辛うじて安定供給を続けられております。


それにしても、海外の途上国を中心とした需要の旺盛さに比べて、
日本のマーケットは全く元気がありません。
身の丈に合わせた仕入(当用買い)をする事もそれはそれで大事だとは思いますが、
現地の情勢は我々が思っているよりも遥かに速いスピードで刻々と変化していきます。


もたもたしていると、必要な商品がその内日本に全く入荷しなくなってしまうのではないか
といった危惧さえ私は感じております。
我々木材業界に携わる人々は自ら率先して今まで以上に海外の情勢に目を向け、
それを如何にして伝えていかなければいけないかをこうした事を通じて痛感致しております。

◇A弘◇