美術館の中の木
こんにちわA・Tです。
この間ずいぶん長い文章を書きまして、しばらくは良いだろうと思っておりました。
のほほんとしておりましたら、またお達しがまいりまして、こうして筆をとった次第です。
さて、今回の日記は前回に引き続きまして、今年の春に行ったアメリカ旅行を題材に扱いたいと思います。
テーマといたしましては、「美術館の中の木の文化」と題しまして、こぼれ話をお送りいたします。
読み返すとなんだか脈略のないところも多いですが、どうぞご容赦の上、お付き合いください。
いきなりですが、アメリカには美術館がたくさんあります。
サンフランシスコからニューヨークに至るまで、大きな街にはこれまた大きな美術館がありました。
そんなに納めるものがあるのかとも思いますが、アメリカには世界中から集めた美術品がたくさんあるのでしょう。
飾るものには困っていない様子でした。
古代ローマのバスタブまで集めてきてしまったのだから驚かされます。
「おい、その写真!!美術館の中で写真を撮っても大丈夫なのか」という声がきこえてきそうですが、フラッシュをたかなければ撮影OKのところも結構あります。
ちゃんと、フラッシュを切っているので、写真にぼやけているところも多いですが、ご容赦ください。
さて、今回、展示品が印象深かったメトロポリタン美術館について扱いたいと思います。
さて、このメトロポリタン美術館、ニューヨークのマンハッタンの中ほどにある世界最大級の美術館です。
展示品の数はなんと300万点。
一つの作品を1分見ていくと17年ほど通い続けなくてはいけないという大きな規模の美術館です。
ここには、西洋美術にとどまらず、古今東西、ギリシャ、エジプトあらゆる種類の美術品があつめられています。
その中で、木でできた美術品というのも少なくは無いのですが、美術品の中に木という素材を通じて文化や風土・歴史が現れていて面白いなぁと思いました。
これらはオセアニア地域の民族美術なのですが、なんと言いますか日本人との感性の違いをありありと感じる作品です。
言葉にならない不思議な感じ。これ自体は、50年くらい前の品だそうで比較的新しいです。
世界的にみると、木で作った芸術品が長く残る場所と残らない場所があり、このオセアニア地域ではあまり残っていないとも。
高温多湿でなかなか美術品が残りずらい地域であると察します。
しかし、古いモノが存在することが良いことではなく、こういったモノの作り方・文化を人に教えて伝えていくことにも価値があるのではなかろうか。
そんなことも感じました。唐突ですが。
一方で、木に飾りやクロスを貼って、染料を塗って仕上げたお部屋です。
これはビクトリア様式だったかと思います。西洋の王朝文化というか豪奢な感じが今の日本ではまず見られない様式で非常に興味深いです。
外国から取り壊されるものを、わざわざ船で運んできて当時の姿を残したそうです。
これらは西洋の飾り棚の一つです。
棚に描かれているのは、中国風の装飾です。
ジャポニズムの前には中国の様式を取り入れた、こうした家具がはやったそうです。
グローバル化が叫ばれる世の中ですが、昔から人間は行き来していたんだなぁと感じさせる一品です。
ちなみに、今回は取り上げませんが、実際にいろいろ見て回ると、西洋の近代印象派は日本の浮世絵を非常にリスペクトしていた事がわかります。
行ったこともない日本橋の風景を描く、フランスの画家なんかロマンチックですね。
ちなみにルノワールは、金髪の着物美女を描いており、映画「キルビル」の走りみたいなこともしています。
ちと、脱線しましたが、当然これも木でできてます。(ちと、強引ですかね)
これは、日本の仏像で・・・・木でできています。
それは、ご承知いただけたかと思います。
しかし、この展示の驚くべきところは、仏像の後ろの内装です。
アメリカの大きな美術館ではこういった異国の美術品を飾るために、お寺みたいな木の風合いのある部屋を作って展示したりするところが結構あります。
日本の寺にある仏像の雰囲気を少しでも維持しようという美術品に対する愛を感じる展示です。
飾るものの風合いにあった展示法というのは、日本の美術館・博物館ではあまりお目にかけませんが、こうした取り組みは輸入するべきと思いました。
そういえば、日本の仏像の展示をしてる場所は少ないです。
仏像というのはお寺ののれんみたいなものですから、おいそれと人に譲るわけのないもので。
それがどうしてここにあるのかは、ちと疑問が残りました。
もしかしたら、映画「酔拳」の玉璽のように、はるか昔に盗まれてきたものかもしれないなぁと。
しかし、こうして、大切に飾られているところを見ると、仏像にとってはどちらのほうが幸せかは判断が難しいところでしょう。
そういう話で行くと、これらの写真も一見、屋外かと思います。
しかし、実は美術館の中の一室を改造し、このような中国風の形・庭園にして展示品が飾られていたところに近い形で飾って、良さを守ろうという工夫の一つです。
さて、話が大いに脱線してきたところで最後の写真はこちらです。
これらは、帝国ホテルライト館やカウフマン邸で知られる近代建築の三大巨匠の一人フランク・ロイド・ライトの建築した建物の一部屋です。
取り壊されるのがもったいなくて、美術館の中に移築してしまったそうです。
その移築してしまうダイナミックさも、すごいのですが、この部屋の構造も興味深く、天井を壁と斜めにつなぐことで、天井と壁の境界をなくして広く感じるように設計したというのです。
確かに広く感じます。感じませんか?
加えて、この部屋に合うように家具も全て設計し、置く場所まで指定したというのだから驚きです。
木の温かみを感じさせながらもモダンなデザイン、こんな部屋に住んでみたいなぁと思いながらシャッターを切りました。
ちなみに、美術館の中の木というと、帰りがけの休憩室もなんかも、おしゃれな感じで木の内装を使っている部屋でした。
その前の日に、ボストンのトリニティ教会に行ったのですが、なんだか時代を重ねてツヤの出た木の質感でいい感じの内装・荘厳なのにセンスのいい内装でした。
その時に感じたのは、私は日本は木の文化(日本の文化)をコンクリートの文化(西洋の文化)にしたように思っていましたが、本場の西洋の文化ではみんな木の内装・風合いをしっかり楽しんでんだなぁと考えました。
「改めて注目してみると木という素材を通じて現れた文化や風土・歴史が面白いなぁ」という話ですから、特に結論もない話になってしまいました。
申し訳ありません。
さて、美術館の中の木というテーマで振り返りましたが、いい美術館には見切れないほどの収蔵品が日本でもあります。
全部に注目してるとくたびれてしまいます。
たくさんの収蔵品を見るとき、一度、木という素材をテーマにフィルターをかけて美術館を回ってみても面白いかもしれません。