アガチス通信vol.44 〜スラウェシ島・ポソ訪問記1〜

先日のハルマヘラ島視察に続きまして、8/19(金)〜21(日)の3日間、スラウェシ島は「ポソ」の伐採現場視察に行ってまいりました。先日のハルマヘラ島視察からもお分かりの通り、今私たちがやるべきことは「原木の新規供給ソースの確立」を視野に入れた原材料の調達を急ぐことであり、極端に言えば「インドネシア中のアガチスを集める!」というぐらいの気概を持って動いております。アガチス関係者の皆様、いいご報告が出来るまで今しばしのご猶予を・・・



さて、この「ポソ」。古くからアガチスを含めた木材の産地として知られており、木材業界が現地生産へと本格的にシフトした1980年初頭のころは同じくスラウェシ島の「パル」との2大生産拠点を成し、特に木材生産が盛んだったようです。ここで弊社ベテラン社員の証言を基に、滝口木材とポソとの関係をひも解いてみると、意外や意外、滝口木材のアガチスビジネスの原点がここ「ポソ」にありました。遡ること28年前の1983年にポソの材料を某商社から引き受けたのを皮切りに、さらなる増産体制を図るべく指導員を直接弊社から派遣、最盛期には駐在員を最大4名派遣していた時期もあったようです。当時は、インドネシア国内だけで数ヵ所あった仕入れ先から毎月8,000㎥、最高で12,000㎥ものアガチスを取り扱っていたそうです(軽く見積もっても今の30倍くらいの需要があったということになります・・・)。それにしても、今これだけ原材料確保に苦しんでいるさなかに自分たちの原点と再度繋がりを持てるということに何か運命的なものを感じてしまうのは私だけでしょうか?。滝口木材とポソは見えない何かによって強く結ばれていたのかもしれません。。。




今回のポソ視察も時系列に沿って、いろいろ振り返りながら書いていこうと思います。

<ポソ視察スケジュール>
8月19日(金) スラバヤ6:00〜マカッサル8:20(スリウィジャヤ航空)
           マカッサル10:00〜ポソ11:10(メルパティ航空)
           午後はミーティング

8月20日(土) 終日アガチス伐採現場視察およびミーティング

8月21日(日) ポソ11:40〜マカッサル12:50(メルパティ航空)
          マカッサル15:40〜スラバヤ16:20(スリウィジャヤ航空)
*スラバヤとマカッサル/ポソは1時間の時差があり記載はあくまで到着地時刻です。



8月19日(金)、朝4時に起床し一路空港へ。2〜3年前まではポソへの直行便(マカッサル経由)はまだなく、必ずパルを経由してそこから山道を6時間揺られてポソ入りというのが常套手段だったようですが、今は本当に便利な時代になったものです。週3便の限定ですがスラバヤ〜マカッサル〜ポソ便が飛んでおり、そういった意味では先週のハルマヘラ行きに比べれば移動はだいぶ楽でした。そんな中、今回初体験したのがメルパティ航空のプロペラ機!60人乗りと作りはコンパクトですがデザインもなかなかイケてましたし何より予想に反して揺れも少なく快適な乗り心地でした。


(メルパティ航空のプロペラ機と風光明媚なポソの飛行場)




空港からポソの町までは車で約40分。その車中で目にしたポソの町並みはあの当時の痛々しい光景がまだあちこちに残っていました。。。1998年から2001年にかけて勃発した宗教戦争によってこの風光明媚な「ポソ」という町は危険な町として世界的に知られることになります・・・、約1000人が犠牲になり数万人が避難民になるといういたたましい事件の傷跡はそう簡単に癒せるものではありません。その後も頻繁に抗争が起きていたようですが、ポソを愛する住民の力で少しづつではありますが落ち着きを取り戻しているようです。


(窓ガラスや扉が割れたままの建物や、シャッターの閉まった建物が多く見受けられました・・・)




ホテルでのチェックインを済ませた後(ポソ市内の最高級ホテル、日本円で1泊約3000円)、近くの食堂でセレベス島の名物料理「ソト・マカッサル」を堪能!薄味のスープにスパイシーな味付けがされた細かい牛肉の切り身がたっぷり入っており、絶妙な味のバランスが絶品でした!



ちょっと遅めの昼食のあとは、今回お世話になるシッパーのポソ市内の事務所へ移動しミーティング。相手側の担当者も毎日現場に入っているわけではなく、週に2回程度入る現場からの情報だけが頼りのようですが、改めてその状況を説明してもらいました。その内容は・・・8月に入ってからも雨が多く生産は低調だったが、ここ4,5日は急に天候が回復し、丸太の伐採は一気に進んだ模様で、おそらく500〜600㎥ぐらいの量はまとまっているはず。途中の道路状況次第だがあと4〜5日天気が続けば楽に1000㎥ぐらいは出てくるだろう、と何とも心強いお言葉!!!しかし喜んだのも束の間、「でも、いつまた降り出すか分からないから、正直何とも言えん。」の一言で、また一気にトーンダウン・・・天気の事だけは私たちの力ではどうしようも出来ないだけに、何とももどかしい。。。自然を相手に商売をすることの難しさを改めて実感しました。ちなみに、ハルマヘラ島とポソのロケーションで1番の違いは、道路の整備状況でしょう。ハルマヘラ島の現場ではほとんどがオールウェザー道だったのに対し、今回のポソは大部分が水はけの悪い赤土土壌のため、雨が続くと通行ができないほどに。「という事は、仮に今晩から雨が降り続いたら山に行けない可能性も???」私の問いに対し大きくうなずく担当者。日ごろの行いが良いか悪いか、明日の朝、神様から審判が下る・・・というのは冗談として、本当に「天候」が我われのプロジェクトのカギを握っているのは間違いなさそうです。



すでに日も暮れ始め、断食中のイスラム教徒にとって待ちわびた晩ご飯の時間が近づいていました。晩ご飯の前に見てほしい場所があるというので、車に乗って移動すること数分、着いた場所はパサール(市場)でした。そこでは食べ物を主体にいろいろなお店がところ狭しと並んでいて、晩ご飯前だったこともあってかすごい熱気でした。「だいぶ、昔の町の様子に近づいてきた・・・」担当者が発したインドネシア語はたぶんこんな内容だったと記憶していますが、この状況を見てきっと私に何かを感じ取って欲しかったんだろうと思います。しかし、私にはさっき見た街並みの光景がどうしても頭から離れず、素直に喜ぶことは出来ませんでした。。。




晩ご飯は担当者お勧めの「イカン・ゴレン(魚のから揚げ)」!!!ポソは海に面していることもあり、魚の種類も豊富で何と言っても新鮮な魚が手に入るので、95%以上のお店で魚のメニューがあるとの事でした。ぷりぷりとした白身魚を強火でサッと揚げ、塩を軽くかけただけの何ともシンプルな料理ですが、魚の肉厚もあり食べ応え満点でした!



お腹も満たされ、あとは明日に備えてゆっくり寝るだけ。
「明日、天気になぁれ。。。」心の中で呟いて眠りにつきました・・・



〜ポソ訪問記2につづく〜


■K平■