倒産企業の経営者とは、こんな経営者!!

Aです。折角ですので、勉強会ネタをもう1つ。

タクローこと森永卓郎さんの講演会終了後、(株)帝国データバンク情報部部長、江口一樹先生による勉強会が催されました。演題は「危ない会社の見分け方-2010年を占う-」。非常に興味深い内容でしたので、私の私見を交えながら、まとめて掲載してみます。


倒産企業経営者に共通する「5つの無い・5つの弱い」

◆ 5つの無い ◆
1、計画性が無い
具体的には、目標に対する到達点・時間軸・ベクトルがない
2、リーダーシップが無い
リーダーは自ら語るだけでなく、相手から意見やニーズを引き出せる聞き上手でなくてはならない
3、情報が無い
社内の“悪い”情報もないとダメ。風通しをよくすべし
4、戦略が無い
戦術(手段)と戦略(目的)を混同するな
5、人脈が無い
発想の転換を促す「異業種交流」こそもっとすべし


1については、やはり行き当たりばったりのマネジメントではダメですね。こういう時期ですから、張り切って目標の到達点を高くしてしまうと、かえって社員のモチベーションが下がってしまうものです。“ちょい無理目”のところにうまく設定するのが良いと思われます。

次に2ですが、“俺が俺が”ではダメですね。リーダーシップを見せ付けようと、自分だけで突っ走ってしまうパターンがよくありますが、全ての仕事を1人でこなすのは不可能なのですから、周りを上手く使えるセンスが無いとすぐに行き詰ってしまいます。

3の「情報」については、悪い情報もないとダメというのは面白いと思います。つまり会社のここが悪い、上司のここがイヤ、といった“耳の痛い”情報ですが、こうした批判的な意見は会社を前進させるためにはやはり必要なものです。社内の風通しを良くするためにも、何でも気軽に相談できる土壌作りが大事です。

次の戦術と戦略ですが、確かにそうですね。例えば、「インターネットでホームページを開設する」というものを考えた時、これはただの戦術でしかありません。マーケティング、物販、会員の交流、イメージ伝達などさまざまな目的をふまえた上で取り組むべきです。大変な作業ですので、開設して満足してしまうのもわかりますが、それでは開く意味がありません。

こういう時期ですから、同業者内でどっぷり浸かっている企業からは何にも出て来ません。特に大きな産業のない地方においては、その地方を活性化させるために異業種間における交流をもっと深めるべきです。

◆ 5つの弱い ◆
1、数字に弱い
業態や規模によって違うが、仕入先 / 販売先が何社かすぐに出てこないようではダメ
2、決断力が弱い
特に不採算部門からの撤退や大胆なリストラを行う場合、決断が鈍る場合が多いので注意
3、朝に弱い
朝早起きする事で、一日の時間が有効に使える。健康にも良い
4、PCに弱い
自分本人は使えなくてもいい。戦略的な意思決定にPCが使えるかどうかが重要
5、人情に弱い
無いのはマズいが、弱いとズルズル引きずられてしまう


5つの弱いについては、簡潔に私見を述べます。まず数字ですが、私は基本的には、粗利/経費/売掛金/在庫がパッと分かればいいんじゃないかと思います。2の決断力ですが、経営者の非情さが問われる所ですね。「泣いて馬謖を斬る」ことができるか。中小企業の社長は本当に辛いですね。3については、いやはや耳が痛い。朝弱いんですよねえ。克服出来る様頑張らないと!続いてPCですが、重要な意思決定って大体計数が絡むことが多いですから、ExcelやPower Pointがある程度使えれば問題無いと思います。そこまで経営者本人が詳しくなくても問題ないはずです。最後の5、人情については、2の「決断力」と同じです。


そして、これら10のポイントにプラスOneとして、倒産企業の経営者には謙虚さが無いと話していました。「社長という地位にあぐらをかいていませんか? 『実るほど頭を垂れる稲穂かな』の気持ちを忘れずに!」とも先生は話していましたが、私も同感です。誰からでも学べるものはあると考えていますので、分け隔てなく人と接する事で、色々な事を吸収しようと常々考えています。


そして最後に江口先生いわく、「鳥の目・虫の目・魚の目」を養なうべし。すなわち・・・・

鳥の目 → マクロ (上空から俯瞰する)
虫の目 → ミクロ (眼前の物をしっかりと捉える)
魚の目 → トレンド (潮の流れやうねりで状況を察知する)


日本人にはこの内の「魚の目」が最も欠けているそうです。これを養うには、現場をよく回ることが重要なのだそうです。私もそれには同感です。確かに、そうしているうちに、直感的なものも養われますし。それから、タクローさんに倣いますが、歴史に学ぶ事も大事なんだそうです。また歴史かよ!!って感じですが・・・(詳しくは前日のBlogを参照)。確かにサイクルは学べると思いますが、タクローさんの「歴史から学ぶ」というのは単なる暴論だったような・・・。


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かくして、今回の勉強会はめでたく終了したわけであります。内容については一部「?」なものもありましたが、全体的には非常にためになりました。また機会がありましたら、こういったことも更新していきたいと思います。またしても長々とお付き合いを頂き、有難うございました!
■A■