ボクらの経済の行方は…。

A弘です。

2010年もはや半月が過ぎようとしていますが、景気の良い話は一向に聞こえてきません。行列が出来るといえば「閉店セール」くらいしか思い浮かばないのが現状です。連日店内の大盛況振りとお客さんのホクホク顔がTVで報道されていますね。

お客さんとしてみれば、普段手の届かないような品々が激安価格で手に入る訳ですから、嬉しい限りですよね。厳しい経済状態の中で、収入が削られていき、生活防衛を余儀なくされている中で、少しでもより良い物をより格安で…という気持ちは良く分かります。しかし、見ている方としましては、とても喜ぶ気にはなれません。


−百貨店の閉店セールに見える問題
まず、行列を成している人達は、本当に閉店を名残惜しんでいるのかという事。これはもうはなはだ疑問符を投げ掛けざるを得ません。ただ安いバーゲン品を買い漁るだけで、その店の歴史とか地域に与えた影響、従業員の方の行く末を慮る・・・といったようなことを頭の片隅で考えたりしないのであれば、餌に群がる動物と変わりません。あまりにも不健全な経済状態をそのまま映し出していると言っていいでしょう。

本来であれば、その類のセールというのは、せいぜい盆と暮れの年2回も行えば十分なはずでした。ところが、リーマン・ショック以後の急激な景気低迷で消費者の低価格志向化が進んだ影響もあって、百貨店も売上が伸び悩んでいます。そのため、デパ地下などを利用した物産展を開催するなど、集客に躍起になっています。しかし、食品はそもそも客単価が低いため、集客の目玉にこそなれ、収益の柱になどは到底なり得ません。

また、イベントにしても魅力が無ければ、すぐに消費者に飽きられてしまうでしょう。やはり、この記事に書かれている様に、高コスト体質からの脱却と、売り場改革が喫緊の課題なのだと思います。



−木材業界との共通点
翻って、我が木材業界を振り返ってみますと、新規住宅着工数は80万戸前後、あるいはそれ以下になる可能性があるのにも関わらず、供給体制は未だに150万戸分あるとも言われており、ここ十数年来指摘され続けている供給過剰体制が全く改善されていないのです。そのため、終わりなき価格競争を延々と繰り返しており、業界全体が年々衰退を余儀なくされております。そこには百貨店業界と共通した問題があると思います。

1つは、マーケティングの問題。百貨店で言えば、店舗においても商品構成が変わり映えせず、顧客への魅力をアピールできていないという問題であり、これは木材業界にも共通します。もっとも木材業界はさらに深刻で、そもそものマーケティングが不足している、マーケティングそのものを知らないという問題があると思います。

2つめが、顧客へのアプローチの問題です。いったい誰をターゲットにしているのかがあいまいで、各年代層への的確なアプローチができていないのです。これは木材業界にも共通しています。アプローチが下手くそなので、顧客が木材のことを知らない、という大きな大きな問題を生み出してしまいました。


なぜこのような問題を引き起こしてしまったのか。以下のような問題があると思います。

(1)他店舗との差別化が図れていない
(2)ヒアリング/提案を一体化したセールスが出来ていない
(3)自分達のやっている事を上手く伝えられていない
(4)各年代毎のトレンドを上手に掴みきれていない
(5)そもそも情熱がない

−問題を打開するための策を考える
たとえば、(1)/(2)については、要は商品開発に係わる部分なのですが、自分たちだけでなく、仕入先(メーカー)及び消費者(顧客)との密接さが問われます。弊社では、アガチスやChinese Hemlock製品の中から、加工度を高めた、エンドユーザーの使い勝手を重視した商品を開発すべく、日々現地との橋渡しをしております。特に海外で生産するような場合には、現地法人との積極的な交流と情報交換は欠かせません。

(3)/(4)については、情報収集/発信力に係わる部分です。業界にいると、業界目線でモノを見ることが習慣になってしまうので、「素人目線」というのは大事になってくるでしょう。しかし、情報量が多ければいいというわけではなく、顧客が知りたいことに情報を集約することも大事です。住宅展示場などで詳細に部品を紹介するセールスマンがいますが、何の知識もない人にとっては「よくわからない」で終わってしまいます。異業種交流と素人目線で、顧客が欲しがっている情報が何かを見極めることが大事です。

(5)については、以前の記事でも触れている通り、非常に厳しい時代なのは嫌という程分かっておりますが、この難局を乗り切るために、全社員の心を一つにして仕事に邁進していきたいと考えております。「景気が悪いから売れない」と嘆いていても何も始まらないのですから。

昨日から今日にかけて、民主党では複数の現職の国会議員と秘書が逮捕され、政局は、通常国会前に大荒れとなりそうな状況です。そして、ハイチでの大地震。波乱に満ちた年になるのが「寅年」とのことですが、いかにも寅年らしく波乱に満ちたスタートとなりました。しかし、心に強い気持ちを持って、荒波を乗り越えるべく頑張っていきたいと思います。


P.S.
今日は私の祖父(前会長)の1周忌の命日です。朝出社前に、お寺に立ち寄ってお線香をあげてきました。時間が過ぎるのは本当に早いなあと感じた一日でありました。
■A弘■