アガチス通信 vol.10 「製材のいろは」


K平です。

1月は営業を兼ねてお客さんのところへ新年の挨拶回りをしていたため、普段よりも外に出ている時間が長く、ホントあっという間でした。景気の悪い話にはもううんざりですが、行く先々でスラバヤからの「アガチス通信」に関してお褒めの言葉を頂き、改めて伝えることの大切さを感じるとともに、俄然やる気になっている今日この頃です。


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さて今回からは「製材」という少々専門的な分野について書いてみようと思います。この「製材」という言葉、一般の方々には聞きなれない言葉かもしれません。言葉は知ってるけど実際はどんなものか知らない人がほとんどだと思います。この「製材」という分野は非常に奥が深く、私自身もいろいろと専門書を読み漁っているのですが、それでも今ひとつピンとこないというのが実情です(お恥ずかしい・・・)。

先輩方からは「製材は現場で覚えろ」と言われてるぐらいですから、言葉で説明するのには限界があるのかもしれません。ただ、実際には馴染みがないがないけれど、実は目利き一つで会社の命運を左右するといっても過言ではないぐらい大切な「製材」というものを少しでも理解していただきたく、私なりに今回の出張で培った知識を踏まえ、写真なども織り交ぜながら「わかりやすく」をモットーに説明していきたいと思います。お付き合いの程宜しくお願いします。



今回のテーマは製材のいろは。流れについてご紹介していきます。ここからは少しでも理解を深めるために、読者の皆さんにも「大根を切る」ことを想定してもらいながら、頭の中で一緒に製材をしてもらいます。写真を参考に、まな板の上の大根をイメージしながら進んでください! ではスタートです!


(1)原木の選別

素材を吟味します。良材と欠点のある材とに選別します。虫食いや変色があったら外しましょうね。野菜選びも一緒ですよね。


(2)剥皮

皮を剥きます。アガチスの皮は堅くて分厚いのですが、意外と簡単に手で剥けちゃいます。大根の皮はピーラーでさっさと剥いちゃいましょう。


(3)盤台上げ

いよいよ機械のラインに乗せます。大根をまな板の上に乗せるイメージです。


(4)大割

機械の名前は送材車付き帯鋸盤。通称ブレイクダウン。ここで丸太を1/4サイズに挽きます。大根は包丁で縦に4つ切りする感じです。)


(5)中・小割

1/4サイズに挽いた丸太を中型の送材車付き帯鋸盤やテーブルソーという機械で各厚みに挽いていきます。この際に挽きながら木の素性や性格を見抜けるようになると一人前です。最低5年の修行が必要なようです。大根は縦方向にいちょう切り!


(6)結束

乾燥する際にスペースの問題で木をかなり高く積み上げるので、荷崩れしないようにある程度の枚数ごとにプラスチックバンドでとめます。


(7)AD

エアードライ、つまり天然乾燥のこと。じっくりと2週間、自然の力で乾燥させ水分を抜いていきます。大根も天日干しします。
 

(8)KD

キルンドライ、つまり人工乾燥のこと。機械の力でさらに水分を抜いていきます。ここまでくれば、ほとんど狂いは生じません。大根もここまでくるとカラッカラ・・・。


(9)二次加工

いろいろな機械を使って切ったり・削ったり・接着したりします。大根は味付けの段階ですね。


(10)検品

キズや欠点の見落としがないかチェックします。大根は見栄えが悪くても食べられますから・・・。


(11)製品

ようやく完成です。こちらはアガチスを使った家具の「側板(がわいた:家具の両サイドに使う、目に見えない部分の板)」です。このほか、集成材(小さな材を継ぎ接ぎしたもの)や壁のパネル、学校教材などが出来上がります。大根は何となく切干大根のレシピに似てるかなと。お味はいかが???



とまあ、ざっとですが上記のような工程を経るわけです。そう難しい工程はなかったと思います。そりゃあ、機械の使い方とか木取りの方法とか掘り下げるとキリがないのですが、その辺は職人に任せましょうよ。基本的な流れさえわかれば充分だと思います。

一連の流れを通して気付かれたかと思いますが、製材と料理ってすごく似てるんです。格好よく言うと、製材をする人って「木の料理人」なんです。こう書いてくると「製材」というものが少しは身近に感じられたかと思います。私もいずれ「K平シェフ」なんて呼ばれたりして・・・・・。

次回は、各工程をもう少し掘り下げて説明していきたいと思います。お楽しみに!
■K平■