アガチス通信vol.23 「スラバヤ現地レポ2010 その7」

Selamat Sian!


今回初登場のK平です!

(ANEKA RIMBA INDONUSA工場の受付でパシャり)


約2週間に亘ってお送りしてきましたスラバヤ現地レポシリーズですが、今回の更新でひとまず終了です。限られた時間の中で、仕事の事はもちろん日々の生活の中で起きている様々な出来事を通して、少しでもインドネシアという国が身近に感じてもらえればという思いで書いてきました。基本的にホテルと工場の往復だけで(晩ご飯は外食ですが)ネタを探すのに苦労しましたが、それでもまだまだ書ききれなかった事がありますので、残りは日本に帰ってからこの2週間をじっくり振り返りながら書いていこうと思います。



では早速仕事の経過報告から。BOARDの検品は全量(約6コンテナ分)8月9日中に終え、13日頃からコンテナ積みの予定です。尚、今後の予定ですが次のロットも既に工場に入荷しており、8月19日からW部長に訪イしていただき再び検品開始予定です。F/JLはじめ加工アイテムは引き続きH川所長に検品及び全ての段取りをお願いし、順次揚げ地別にコンテナ積み予定です。




さて、実は今回の出張の前に、個人的に色々とたくらんでいた事がありましてその事についても少々触れておこうと思います(といっても悪いことではないですよ)。というのも普段日本で営業回りをしている中で、「木材」の需要減・新建材などへの切り替わりがとてつもないスピードで進んでいる事を実感しています。もちろん、そんな現状に甘んじている訳にもいかず、じゃあどうしたらいい?という事をずーっと考えていまして。インドネシアという国を相手にした場合に、現状取り扱い可能な樹種やアイテムは?継続性は?ドメステイックや他国向けのマーケットは?など原点に立ち返ってアイディアを巡らす事で見えてくる事が必ずある。そして、考えてるだけではしょうがない、じゃあまず動いてみようってな具合にです。それで、今回は2週間という短い期間の中で出来ることも限られていましたので、じゃあ手始めに協力工場であるANEKA RIMBA INDONUSAで実現できそうなプランを色々と練ってみたわけです。実際、工場に入る事で見えてきた事がたくさんありました・・・



このANEKA RINBA INDONUSA(アネカ・リンバ・インドヌサ)工場。アメリカ向けの家具製造がメインで毎月50〜60コンテナを輸出しています。その部材のほとんどはジャワ産の植林マホガニー。下の写真を見ていただければわかりますが、径求40センチから50センチ程度で長さも1メートル強しかありません。しかし、そもそも家具の芯材には先日ご説明したF/JLやS/LB(狭い幅の部材を繋ぎ合わせて使用)が使われるため、幅の広い材は必要とされずこの程度で十分事足りてしまうのです。




さてこのマホガニー材。古くから高級材として知られ、日本では建具や家具に使われてきました。アフリカを主産地として日本でも相当量が使われていましたが、今では輸出規制が厳しくなった影響や値段の高騰などで需要はかなり減っています。そこで、このインドネシアマホガニー。今日本で流行りの白木(白っぽい木)とは真逆で赤身の強い木です(しかも広葉樹だけあって結構重い)。でも、白い木を見慣れてしまっているせいかむしろ新鮮で面白い!!!あくまで個人の感想ですからマーケットに受け入れてもらえるかは当然別問題ですが、エコ木材という点も含めて可能性があるのでは?と感じています。取り組み可能な条件としてはF/JLやS/LBに限られますが、時代を考えればむしろ歓迎でしょう。というわけで、8月末にはサンプルが届くと思いますので、届き次第ブログでアップしたいと思います。




他にも、やはり植林木SAMAMA(サママ・セレベス産)という木での同様のサンプル、またアガチスCグレード(欠点が多い)を使用した家具の作製など、まだまだ模索中ながらやり方次第では可能性のあるプランも多々あります。幸い当社には現地スタッフが常駐しており、新しい情報や現地での動向などが逐一把握できる環境にある上、長年先輩方が築き上げてきたシッパーとのコネクションもあります。この強みを最大限に生かしつつ、「今の時代に即したやり方を考え、そして行動していこう」と気持ちを新たにした次第です!本当に充実した2週間を過ごす事が出来ました!!!





スラバヤ最大のモスクを車窓から(MASJID AGUNG)


ガラッと話は変わりますが、インドネシアという国はご存知の通りイスラム教国家でありまして、そのイスラム教徒にとって大切な教義の1つラマダン(断食月)」が8月11日から9月9日までの1ヶ月間に亘って行われます。この1ヶ月間、イスラム教徒は日の出から日没まで断食及び禁欲をしなければなりません(一切食事をしてはいけないという訳ではありません)。基本的に水を飲むことも禁止され、宗派によっては唾を飲み込む事も禁止されているようです。まさに修行です。。


そのため、この1ヶ月間はすべてにおける生産・活動能力が低下します。もちろん当社協力工場も例外ではなく、工場の従業員たちは蒸し風呂状の工場の中で水も飲まず働く訳ですから、何をかいわんやです。脱水でぶっ倒れる輩も多々おり、工場内はいつになくダラダラモード。生産など上がるはずがありません(2年前のラマダン中にスラバヤにいたんです)。というわけで、このラマダン前までに重要な仕事をこなすことはこの国においてはいわば常識です。ましてや、「ラマダン」が終わると「ハリラヤ・プアサ(断食明けの大祭)」で約1週間近く休みになりますし。今回の出張もこのラマダン前にいかに仕事をこなすかがテーマでしたので、なんとか責務を果たせてほっとしています。。。という訳でこの1ヶ月間は何かと宗教の違いを肌で感じることができる貴重な時間でもあります。


本来、「ラマダン」は飢えを経験する事で食べ物の有難みを知り、自分が恵みを受けている事に感謝をするために行われると言われています。        


食生活が豊かになり、食べれることが当たり前の日本。我々先進国の間では食物廃棄が問題になる一方で後進国では未だに飢餓で苦しんでいる人が大勢います。先進国に暮らす私たちこそがこの「ラマダン」を経験し、改めて「飯が食べれる事への感謝の気持ち」を再認識することが必要なのではと考えさせられた最終日でした。


〜おまけ〜

この写真は何でしょう???
これはイスラム教圏のホテルで見かけるメッカ(聖地)の方角を表した矢印で、部屋の天井に描かれてあります。イスラム教徒の人たちはホテルに泊まっていても朝の4時半には起きて、メッカの方向を向いてお祈りするそうです。。。


■K平■