moretrees がもたらすもの


以前このブログで取り上げたましたが、
世界の教授こと坂本龍一さんが発起人となった森林保護団体「more trees」
震災後も、積極的に活動を広げています。


その最たるものが、岩手県住田町に建設されている木造仮設住宅
被災地の復興支援のための「LIFE311」という活動の一環として行われているもので、
津波被害地の近隣自治体である住田町に地域産材を利用した仮設住宅をつくり、
被災地に「住」と「職」を同時に生み出そうと、地道な活動を進めています。



この仮設住宅は、すでに医療従事者用17棟を含む合計110棟が完成。
近隣自治体から被災者を受け入れています。


建設にかかる費用は1戸約300万円。
費用のほとんどは、「寄付」によって賄われますが、
このmore treesに賛同しているのがまた錚々たるメンバーで、
日本を代表する音楽家やクリエイターが名を連ねています。
現在までに3,000万円近くの寄付が集まり、支援の輪が広がっています。


そして、昨日まで、その仮設住宅六本木ヒルズアリーナに展示するイベントが開かれました。
東京と被災地、都会と森を結ぶ、すばらしいイベントだと思います。



震災によって、「エネルギーをどうするのか」という問題が私たちの前に表れました。
そして、できるだけクリーンなエネルギーを使っていこうじゃないか、
そんな世論がますます強くなりつつあるように感じます。


中でも、日本の森林には、特に大きな注目が集まっています。
坂本龍一さんの活動も、たびたびニュースで取り上げられていますし、
脱原発か推進かの議論を超えたところで、
「日本の森林を有効活用することのメリット」が伝えられています。
ふるさとを見直す地産地消の一環として、各自治体から「補助」も出ており、
「国産材」は、今後ますますクリーンな木材として注目を浴びることになるでしょう。



ひるがえって、外材。
「国産材といってもスギくらいもので、外材なしでは家が建たないよ」
そうおっしゃる方も多くいますし、事実、そういう部分も多々あると思います。
しかし、なぜ外国からの木材を使わなければいけないのか、
その木材の魅力とは何なのかを知っている施主さんは、多くはありません。
それを、私たち外材取扱者が伝えられなければ、
外材はますます埋没していってしまうでしょう。


more trees はほんとうにすばらしい活動ですし
そもそも伝え方やプロダクツのデザインもかっこいいので、
私自身、重大な興味を持ってmore trees の動向をチェックしています。


ですが、外材・南洋材を扱う商社に勤めている以上、
外材の価値も伝えていかなければなりません。
「外材か国産材か」という対立構図にする気は毛頭ありませんが、
more trees がいい活動をすればするほど、
外材が取り残されてしまうのではないかと、そんな危惧が頭をよぎります。


外材でなければいけない意味、そして価値を、
きちんと伝わる言葉に変換できているだろうか。
more treesは、すべての外材関係者に、そのことを問うているような気がします。


(K松)