アガチス通信vol.40 〜ハルマヘラ島訪問記1〜

今回私が訪れたのは、インドネシア北マルク州に位置するハルマヘラ島。

(古くは第2次大戦中、日本軍の南進が進む中で島全体に11か所もの飛行場建設がなされ
日本軍の空輸拠点とされていたことで知られており、改めてその歴史をひも解いてみると
ハルマヘラ島と日本とのつながりというものは決して浅いものではなかったようです)




弊社がインドネシア産アガチス原木の供給基地としてハルマへラプロジェクトを立ち上げたのが2001年。以降、10年間で約60,000㎥もの丸太を供給し日本におけるアガチスマーケットを長年支えてきました。ところが、昨年以降原木の出材が非常に不安定になり、このプロジェクトは存亡の危機に立たされておりました。現地駐在員を通じて毎日送られてくる現場からの全く進展のないレポートにしびれを切らし、「アガチスの供給責任を課せられている者としてこのままではいけない!まずは現場の状況を自分の目で確かめなくては!」とその必要性を強く感じ、今回の訪問に至ったわけです。



さて、このハルマヘラ島。屋久島並みの年間6,000ミリもの降水量があると言われるほど非常に雨が多いのが特徴で、それゆえ原木の生産はどうしても天候に左右されてしまうのですが、逆にこのような環境だからこそ良質のアガチスが多数埋木しているというわけです。柔らかく白系のアガチスが多く取れることから「アガチスの聖地」とも呼ばれ、アガチスに携わる者にとっては非常に馴染みの深い島なのです。



今回のハルマヘラ島現場視察に当たっての確認事項は次の3点。
安定供給が可能なポテンシャルの確認
継続供給が可能なポテンシャルの確認
次回船積み予定がいつ実行されるのか






ここからは、振り返りも兼ねて時系列に沿って書いていきたいと思います。どうぞお付き合いください。


タイムスケジュールは以下の通り
8/12(金)  スラバヤ7:45〜メナド11:20(スリウィジャヤ航空)
        メナド11:50〜テルナテ13:35(スリウィジャヤ航空)
        テルナテ〜ハルマヘラ島・ソフィフィ(スピードボートで約45分)
        ハルマヘラ島・ソフィフィ〜キャンプ・ロニー(車で約3時間)
8/13(土)  現場視察、ミーティング
8/14(日)  キャンプ・ロニー〜ハルマヘラ島・ソフィフィ(車で3時間)
        ハルマヘラ島・ソフィフィ〜テルナテ(スピードボートで約35分)
        テルナテ14:05〜マカッサル15:00(スリウィジャヤ航空) 
        マカッサル15:40〜スラバヤ16:20(スリウィジャヤ航空)


(スリウィジャヤ航空の機体、テルナテ飛行場、上空からのテルナテ沿岸部の様子、初体験のスピードボートとスピードボート上から眺めるテルナテ山)



8月12日(金)朝の便でスラバヤを出発、メナドを経由しテルナテへ着いたのが午後2時前。休む間もなく空港から船着き場へ移動し、スピードボートに揺られること45分。いよいよハルマヘラ島に到着!「無事に着いたぁ。。。」と余韻に浸る間もなくジープに乗り込み山道をひた走ること約3時間。ようやく目的地のキャンプに到着です。この時すでに時計は夕方6時を回り辺りは真っ暗、シーンと静まり返った中、自家発電モーターのけたたましい音だけが山の中で響き渡っていました。


(事務所兼キャンプの看板、建物向かって1番右側が案内された部屋)



キャンプに在籍するメンバーたちとの簡単な挨拶を済ませた後に通されたのが6畳1間程の部屋。辺りが暗かったこともあり外観からはその作りがはっきりとは認識できませんでしたが、部屋を見て納得。板を打ちつけただけにしてはしっかりとしたつくりだが、空調のために取り付けられた網はボロボロに破れ、天井板の一部は今にもはがれ落ちそうな状況。当然のごとく恐れていた「蚊」も自由に飛び回れる環境が整っておりました。「しょうがない、ここは割り切って・・・」と腹をくくった瞬間、部屋の隅っこでうごめく黒い物体。この時ばかりは、涙が出そうになりました・・・


(ベットが1つ置いてあるだけの部屋と私を出迎えてくれた奇妙な物体・・・)



そうこうしている内に、「晩ご飯の前にさっぱりして」と通されたのが、宿舎裏にあった薄暗く奇妙な光を放つ建物。中に入った時には本気で帰りたくなりました。。。川の水を汲んできたドラム缶数個にトイレの便器だけが置かれた兼用部屋(食事中の方ごめんなさい!)。入るべきか、我慢すべきか悩みに悩んで結局・・・それにしても人間というものは吹っ切れるとたいがいの事は出来てしまうようです。日中の暑さで体に余熱が残っていたせいか、いざ入ってしまえば、水温が気持よく感じられる程でした(震災中1週間体を洗うことが出来なかったことを思い返せば、むしろ水浴びできる事だけでも感謝しなくては。。。)。


(2畳分程度の広さの水浴び場兼トイレ。意外と水はきれいでした。)



1日の汚れをきれいさっぱり洗い流した後は、待ちに待った晩ご飯!昼間の移動中はほとんど食べていなかったので腹はペコペコ。通された食堂には出来たての料理がすでに机に並んでいました。

炊きたてのご飯に、インドミーと称される即席ラーメン、小魚の天日干しに目玉焼き、とキャンプにおいては超贅沢なラインナップ(らしいです・・・)!ラーメンライスの絶妙なマッチングと小魚の塩加減が1日の疲れを忘れさせてくれました。想像以上においしかったのは嬉しい誤算でしたが2泊3日の計5食が全て同じメニューになることはこの時はまだ知る由もなく・・・



そうこうしているうちに時計はすでに夜の9時を回り、やることがない山の中ではただひたすら眠るだけ。。。明日の視察に向けて早く寝についたものの、夜通し「蚊」と格闘したのは言うまでもありません・・・山のキャンプの厳しさを初日でほぼ全て経験したわけですが、この経験をを通じて得た教訓「現地に入る者、現地人たれ」といったところでしょうか。こうしてハルマヘラの初日は過ぎていきました。

第2話に続く


■K平■