アガチス通信vol.26 〜アガチス塗装編〜

K平です。


アガチス通信を通じて、素材としてのアガチスの魅力や優位性などについて、少しは理解が深まってきたかと思いますが、私自身いろいろと現場回りをさせていただく中で、「アガチスの持つ高いポテンシャル、そして秘めた可能性は本当に図り知れない」ということを改めて実感しています。アガチスの良さを最大限に引き出してあげることは私たちの使命であり、日頃からそのための研究や努力を惜しむわけにはいきません!




最近強く感じることは、流通の川上にいるからといってただ素材を売っていれば良いという時代はとっくに終わり、「いかに消費者目線で物事を考え、いかに消費者が望む素材を提供するか」がこれからの生き残り策になると。。。そのためには、積極的に現場回りをして現場の意見を聞くこと、そして当たり前のことですが、もっともっと色んな角度から勉強して知識を積み上げていかなければいけないということです。もっとも、うちはアガチス屋ですから、「アガチスに関する知識は世界中の誰にも負けてはいけない・・・」そう考えています。。。




さて、今回は少々専門的な「塗装」という分野について考えていきたいと思います。木材という素材は、塗装を施すことで全く違った表情を見せます。その変わり様たるや、なんとも美しく時に感動さえ覚えます。その感動を少しでもみなさんと共有できればと思いこのテーマを選んだわけです。そこで、最近の主流であるオイル塗装(オイルフィニッシュ)ウレタン塗装という2種類の塗装方法を比較しながら、「アガチスが化粧をするとどれほど艶やかな木材に変わるのか」を実際に見ていただきたいと思います!(ただし、写真と現物では仕上がりの印象に多少の違いが出ることをあらかじめご了承ください)




(1)オイル塗装(オイルフィニッシュ)/自然塗料
木の内部に直接染み込んで仕上がる塗装で(含浸型塗装)、ワックス・ステイン・漆などもこの中に含まれます。マットな感じに仕上がるのが特徴で、木の素材感を思う存分味わうことが出来ます。また、最近では天然成分を主原料として、健康にも環境にも配慮した自然塗料もたくさんあり、オイル塗装とはあえて別のカテゴリーに区分されています。参考までに、ドイツ産の自然塗料オスモリボスアウロなどがメジャーで、国産では小川耕太郎∞百合子社さんの未晒し蜜ロウワックスが注目されているようです。。。





<メリット>
・木の持っている美しさやしっとりとした肌を表現できる
・木本来の機能である吸湿作用を損なわない
ハケ塗りなので誰にでも手軽に出来る
・塗装は現場作業で行うので塗装の為のスペース確保が不要
・ウレタン塗装に比べてコスト面で有利
・キズが後々味になる


<デメリット>
・キズにはあまり強くない
・水気には弱い
・手作業の為、塗装に時間がかかる
・乾燥に時間がかかる
・定期的な上塗りが必要(上塗りをサボると焼けたりカサついたりします)






(上から無塗装のアガチス、板の半分を自然塗料で塗装直後、塗装後1日経過、15年経過後のルーバーとドア)



アガチスはオイルやワックスによって黄金色に輝きを増し、経年変化と適度なメンテナンスによってさらに深みを増した飴色へと変化を続けます。その何ともいえない上品な輝きがアガチスファンを魅了してやまないのでしょう・・・




(2)ウレタン塗装
表面にウレタン樹脂塗膜を形成する塗装で(造膜型塗装)、基本的に木の表面を樹脂で覆います。それによって、外部からのストレス(日焼け・乾燥・水分・熱・キズなど)から木を守ります。ただし、使われる木の乾燥状態がよくないと、ウレタンに閉じ込められた空気によって、木が反ったりしてウレタンの表面にクラック(割れ)が入ることがあり、造膜型塗装には多少の専門知識が必要とされます。ニス・ラッカー・UV塗装なども造膜型塗装の1つに含まれます。ちなみに、よくカン違いされるのですが、UV塗装とは木の表面にUVカットする塗装をしているわけではなく、塗装をする段階で特殊装置により紫外線を照射し、その光によって短時間で塗料(アクリル系ととポリエステル系の2種類)つまり、木の表面を硬化させる塗装方法の1つです。

[:W480]



<メリット>
・メンテナンスフリー
・仕上げの色やツヤが多彩
・キズに強い
・水にも強い
・乾燥が速い


<デメリット>
・塗装が磨耗した時に塗装が剥げてみすぼらしく見える
・再塗装には部分的な取り外しが必要で面倒
・広い塗装ブースが必要(ウレタン塗装はスプレー仕上げの為ホコリが舞う環境はダメ)
・木本来の吸湿作用ができない

[:W480]
[:W480]



ウレタン樹脂によってコーティングされることで、建て付け時と同じ輝きが長期間保たれます。年を経るごとに表面のシートが剥がれ、みすぼらしくなるフラッシュドアなどと違い、高級感がずっと味わえるのも魅力です。




アガチスの素材としての魅力を楽しめる自然塗料、またツヤを増し高級感たっぷりに仕上がるウレタン塗装。どちらが良くて、どちらが悪いといった偏った考え方ではなく、いかに用途に合わせた仕上げ方をするかが大事なことです。新建材と違い時間が経てば経つほど味が出る「無垢材」を選ぶことは、「いい家に飽きずに長く住まう秘訣」なんだと思います。住人と共に時を重ね、共に深みを増していくアガチス・・・これから家を建てようとお考えの方、リフォームをご検討中の方、ぜひ内装材にアガチスを!!!



■K平■